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神代文字存在説への批判

『隋書』「卷八十一 列傳第四十六 東夷 俀國」に、「無文字 唯刻木結繩 敬佛法 於百濟求得佛經 始有文字」とあり中国は倭人に文字=漢字はないと認識していた。

鎌倉時代の『二中歴』に「年始五百六十九年 内卅九年 号無く支干を記さず 其の間刻木結繩し 以て政となす」とある。

神代文字存在説への批判は江戸時代に既に湧き起こっていた。否定説を唱えた者としては貝原益軒、太宰春台、賀茂真淵、本居宣長、藤原貞幹などがいるが、中でも伴信友の『仮字本末(かなのもとすえ)』の付録『神代字弁』は実証的に神代文字を否定し、後世の偽作として排した。以下に否定説の主な論拠を挙げる。

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古人の証言
中臣氏とともに代々朝廷の祭祀を務めていた古代氏族である斎部氏の長老・斎部広成は、『古語拾遺』(808年)において「蓋聞 上古之世 未有文字 貴賤老少 口口相傳 前言往行 存而不忘」と記し、漢字渡来以前の日本には文字が存在しなかったことを明白に述べている。卜部兼方を遡ること約500年前の貴重な証言として注目される。
字母数の問題
橋本進吉が『万葉集』等の万葉仮名で記された奈良時代の文献の表記を研究した結果、上代特殊仮名遣と呼ばれる特殊仮名遣を発見した。これにより、奈良時代には濁音節を含めて88音節存在したことが明らかとなっているが、神代文字のほとんどは字母数が平安時代に作られたいろは歌や五十音図と同じである。これは神代文字が平安時代以降に創作されたものであることを示している(ただし近年、上代日本語の母音体系は現代と同じ5母音であったとする学説(上代特殊仮名遣)もあり論争の結論はでていないが、少なくとも上代日本語には中古日本語・現代日本語には用いられない仮名づかいが存在し、神代文字がそれに従っていないのは事実である)。
ハングルとの類似
神代文字の中にはハングルと酷似したもの(阿比留文字。また日文(ひふみ)とも。対馬の豪族・阿比留氏が関係するとされる)が存在する。ハングルは1443年に考案されたものであるから、ハングルが阿比留文字を参考に考案された文字ということでもない限り、阿比留文字もそれ以降のものであると解される。平田篤胤によるハングルを元にした捏造とする説がある [1]。
以上の論拠により、神代文字は信憑性に乏しく、後世の偽作であるというのが学界の定説となっている。

なお、神代文字やそれによって書かれた古史古伝が存在することをもって日本に超古代文明が存在していた証拠とする者もいるが、「日本にかつて高度な文明が存在し、独自の文字を使用していたならば、そもそも漢字を輸入する必要がないはず」とする反論がある。また、これらの古史古伝の中にはしばしば近代以降の用語・概念・絵画・字体などが見られ、偽書の疑いが濃厚であることも、神代文字存在説には大きなマイナス材料となっている。

また、近年の考古学の進歩により、昔の遺跡や古墳などから文字の書かれた土器・金属器・木簡などが発見され、こういった出土文字により記紀以前の文字の使用状況が判明しつつある。これによって得られた考古学的な知見から、漢字渡来以前に日本に固有の文字はなかったと見られている。

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2009年04月29日 14:56に投稿されたエントリーのページです。

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